jthirtyの日記

ちょっと待って


●1月8日 良元優作ライブ @福山ポレポレ

悔しいなあといつも思ってしまう。
別にお客さんを何百、何千と集めたいわけではない。
その日、例えば15人しかいないのだったら、それをなんで16人や17人にできなかったのかという後悔。
じくじくと痛い。

自分の聴きたい人を広島で聴きたいからと細々と年に数回のイベントを企んでいる。
そういったことをやり始めてから気づいたことは、一番楽しみにしていた自分が実は一番楽しめないということ。
大好きなライブを待つのならその日を指折りしながら幸福に待てばいい。
だけど、自分が携わった場合、その指折り待つ間が幸福であり恐怖でもある。
いや、それは少し言い過ぎかもしれない。最初から分かってることじゃないか。十分に楽しんでいるだろう?
大好きな人と普通より長く濃い時間を共有できるのは何よりも楽しいことだ。

「こんないい音楽。もっともっとみんなに聴いてほしい」

という気持ちもなくはないが、それはどこかおこがましい気もするし、そんなことより本音は裏も表も楽しみたいという単純なミーハー心。
そこんところの軽薄な気持ちが原動力になってるんじゃないだろうか。
と思う、
のだけどやはり「もっと知って欲しい」という気持ちも強くある。身勝手な話だが。

公演まで色々悩みつつ悶々とし、当日になってもあれこれが気になって全てを悪い方に考えながら見てしまうから落ち込むのだ。
あまり気が利く方でもないし、演奏してる人はやりにくくないだろか、お客さんは退屈してないか、とか考えてると冷静にライブを見れない。


今回の良元優作くんのライブは自分からの企画でなく人から頼まれて動いた企画。
共通の知人がいるけれどその声をかけてくれたYさんも、良元くんも全く面識がない。
ライブ当日に「はじめまして」である。
まー、色々と緊張もする。
だけど嬉しい。
なかなか行動できない方だし、色々とウジウジする性格なんで、そんな自分へ誰かから声がかかるのは非常に嬉しい。

「オーライ、任せとけよ!」

ってわけではないが、自信も実績もないが、なんか一瞬自分の力を過信してしまうんかね、自分がちょっとだけ偉くなったようで嬉しい。

単純だね。

良元くんに関しては確かに面識はなかったが、ライブで歌う姿は数年前の大阪「祝春一番」の舞台で一度見たことがあった。
その時またどっかで会うことがあるんじゃなかろうかと僕は予感していた・・・というのは嘘だが気にはなっていて、
Yさんからのメールでその名前に再会したときはちょっとドキリとした。

2004年にイベントを始めてから、こういった出会いのようなものが色んな形であり、それっきりになってる人もいるし、物凄く懇意になってる人もいるし、会いたくても会えなくて、でもネット上でなんとなく続いていたり、とかとか。
たぶん、妙と言えば妙な、いろんな関係が発生していて、そこが一番楽しいことなんかもしれないなあと最近思っている。
放っておくと人と積極的に接しない性分だからこうやってコロコロと人と人の間を転がっていくことが面白いのだろう。
なんとか自分も地上で息をしてるなあと感じることができるから。
人と交差するための命綱でもあるし、外へ出るための口実でもある。
当日までの段取りを色々と練ったり相談したり、お願いしますとチラシを配ったり、ありがとうございますとお客さんに挨拶したり、すべて真剣にやってるけれど、心の中ではそんな自分の事をアハハと笑っていることがある。
そんな時しか息が出来ないなんて滑稽な。



良元優作くんのライブはよかった。
なんとなくイメージしてた「大阪の」「親しみやすい」「フォークシンガー」な部分もあったけど、それだけでないことがじっくりと向き合ってよく分かったから。
フォークでしょ?と問われればフォークじゃない。
ロック??と問われればロックじゃない。
そんなちょっとへそ曲がりな部分を自分は心地よく感じた。
気持ちよく聴いていても、どこか暗い、一瞬心の底へ入り込んでくるような時がある。

そういった歌を歌う人が好きだ。

コンポステラや鈴木常吉さん、島崎智子さんなどなど音楽の話も合う。
余談だが、いま、自分にとって島崎さんが好きかどうかで「この人は信用できる!」といった基準になっているのだ。


共演した河原典宏くんもMCブサイクさんもよかった。
のびんとす河原君は僕の推薦で、ブサイクさんはお店からの推薦。

20代(河原)、30代(良元)、40代(ブサイク)といった年代のバランスもよかった。偶然だけど。
お客さんはけっして多いとは言えなかったけど、来て欲しいと思っていた何人かに会えただけでも満足だ。
まだまだスタート地点だもの。増やしていくのだ、これから。
暗いけど前向きに。
油断してるとすぐ落ち込んでしまうから。

リハーサル中の河原君と良元君に「何か一緒に一曲やったら」とミュージシャンでもなんでもない自分から提案するのは
非常に迷ったし、やめようかとも思った。
でも、いい雰囲気だったのでつい口が滑ってしまった。
諸々の過程を経て、「上を向いて歩こう」を最後に全員で演奏することになった。
恥ずかしいかなとも思ったけれど、なんかよい空気で終了出来たような気がしてる。
他の人はどう思っただろうか?
いや、自分がどう思ったかだけで十分なんだろう。
よく分からないけれど、ミュージシャンの為に、お客様の為に、会場の為に、とか色々建前抜きに、確かにそれらは大事だと思うのだけど、自分の身勝手は全部自分に向けて放り投げてしまえばいいのではないだろうか。
自分がどう思ったかが結果だ。その結果は冒頭に書いたとおり。
今日も気分が落ち込み暗い、納得いかない、だけど歌は気持ちいいよ。また聴きたいよ。ありがとう。



福山から三原まで良元君と河原君を車に乗せて三原まで運転。
40分くらいの短いドライブ。小さめに流れるローザ・ルクセンブルグの音楽と時々おしゃべり。
そんな短い時間の短い会話がいい。忘れそうなくらいのとりとめもないことほど忘れない。
さっきはお腹空いてないと言ってたけどやはり小腹空いたねとファミレスに三人で。
良元君は我が家に宿泊。遅いのではやく寝る。
翌日、朝早い彼を三原駅まで送る。福岡へと旅立っていった。
きっとまた回ってくる。ぐるぐる回る。音楽も気持ちも。
アップ&ダウンを繰り返すんじゃなくてぐるぐる回ってるだけなんだろう。